2011年1月3日月曜日

英語学習法

約束通り、真面目ブログ始めました。

記念すべき第一回は、知人から要望の多かった英語学習法について、書きます。

以下は、来年度の慶應理工学部の「海外留学プログラム」という冊子に僕が寄稿したものですが、最近よく「勉強法教えて」と言われるので、皆さんの学習の助けになればとの思いで、載せます。恥ずかしいですが。
※ちゃんと編集者の方から同文ブログ掲載の許可をもらいました。

紙幅の関係で、大雑把にしか書けなかったので、詳しいことは個別に今後このブログで取り上げていけたらなー、と思います。

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僕は、もともと何の海外経験もありませんでした。英語は受験では得意科目ではありましたが、大学入試レベルでした。その後は特に英語の勉強はしていなかったのですが、大学4年生のときに本気で勉強をしようと決心し、そこから1年半ほどで、TOEIC945点を取得しました。
このたび、井上京子先生に、授業で行った英語のプレゼンテーションに対してお褒めの言葉をいただきました。TOEICの点数では測れない「話す英語」を英語の先生に認めていただけたのは、本当に嬉しい限りです。僕自身、かなりの発展途上で恐縮ではありますが、同じ志を持つ大学生のみなさんの学習のヒントになればとの思いで、僭越ながら僕の英語学習法を紹介させていただきます。

最初に言っておきますが、僕の学習法を使って短時間で英語力を上げるためには、とにかく努力が必要です。常に英語を意識した生活に切り替える必要があります。その代わり、わざわざ椅子に座って特別に英語学習の時間を取る必要はまったくありません。学習は、「電車の中」と「歩行中」および「他のことをしている間」のみです。つまり、今までのライフスタイルをまったく変えずに実行できます。気力は必要ですが。
僕は、最初からこの学習法でいこうと決めていたわけではないのですが、試行錯誤を繰り返した結果、耳から英語を入れるのを主体とする学習法になっていました。僕の学習法は、4段階に分かれています。それらについて、順を追って説明していきます。

◆発音の「一貫性」の徹底矯正
普通は英語学習者があまり徹底しないことであるにもかかわらず、僕は絶対にやるべきだと思っていることが、ひとつあります。それは発音の理論を学ぶことです。まずは発音について解説した本で、発音記号の読み方をひと通りきちんと覚えてください。なにはなくとも、まず発音を徹底してください。
ここで気をつけていただきたいのは、「徹底」してほしいのであって、「完璧」にする必要はない、ということです。つまり、ネイティブの話す英語とまったく同じ発音を達成する必要は(できるに越したことはないですが)、ありません。僕もネイティブの発音とは程遠い発音をしています。大事なのは、自分の発音に、「一貫性」を持たせることです。例えば、3つの単語、hat / hot / hut という3つの単語を発音し分けることができるでしょうか?
hatのaの音が、ネイティブと同じである必要はありませんが、自分が発音するときにこの3つの発音が区別できていることが重要です。hatのaの音を、ネイティブ以上に日本語の「エ」っぽく呼んでも良いのです。「ヘェット」と。その代わり、絶対にhatのaの音は、毎回「エ」と発音するようにしてください。catのときも、sadのときも、です。大事なのは、一貫性です。聞いたときに、それがどの音か識別できることが大切なのであり、一貫性さえあれば聞き手が順応してくれるので、発音自体は悪くても通じます。そして何より、発音をし分けることができれば、リスニングで聞き分けることなんて余裕になります。

◆大は小を兼ねる「2倍速・訛り・雑音」リスニング/シャドーイング
発音を徹底したら、いよいよ勉強の核となる、2倍速リスニング/シャドーイングを行います。2倍速再生が可能なMP3プレイヤーを買いましょう。
リスニングの素材選びですが、これは、かなり背伸びしたレベルのものを選ぶことをお勧めします。自分の現在の英語力に関係なく、全員が最もレベルの高いものを選んでも良いとさえ思います。なぜなら、この勉強法では、同じ素材を何度も繰り返し使って練習するからです。難しい単語が入っていようがいまいが関係ありません。どうせその文章を何百回と聞くことになるのです。そこに登場する単語なんて、嫌でも覚えます。例えば、ophthalmologyという単語を知らなかったとしても、今後100回以上その素材を使って練習を行うのです。すると、その度にophthalmologyという言葉が耳に入ってくるので、100回以上聞くことになるのです。絶対覚えます。同様の理由で、訛りと雑音ができるだけ多く入っている素材を選ぶようにしてください。
「大は小を兼ねる」という考え方は英語学習においてとても大事です。2倍速が聞き取れれば1倍速は聞き取れますし、訛りと雑音交じりが聞き取れれば標準的な音は聞き取れるのです(最終的にはエスカレートして、2人分が聞き取れたら1人分は聞き取れるだろうという信念のもと、右耳と左耳でまったく別の英語を流して「聖徳太子もオススメ勉強法」と名付けて実践していました)。段階を踏む必要は、まったくないのです。いきなり、すべての要素を含む高度な素材を使い、その代わりそれを隅々まで完璧にしましょう。
具体的な勉強の仕方ですが、まず電車の中(本を読める状況)でスクリプトを見ながらひと通り聞いて、聞き取りにくい箇所や、自分の知らない単語をすべて洗い出します。自分が聞き取りにくいなと思う箇所で何を言っているのかを把握すれば、あとは2倍速で聞いても文脈と単語がわかっているので、一語一語きちんと聞き取ることができるはずです。あとは通学中など、歩いているときに、暇さえあればひたすらそれを聞きましょう。MP3プレイヤーに音楽を一切入れず、英語しか聞くものがない状況に自分を追い込んでください。家などで声を出せる環境のときは、シャドーイングをひたすら実行します(このときに、先ほどの「発音の一貫性」の練習をします)。声を出す練習も、「掃除をしながら」程度で十分です。耳から聞いて、口から出すだけです。わざわざ本を開いて椅子に座る必要は、まったくありません。

◆「ストック」を増やす瞬間英作文
次は、話すための練習です。スムーズなやりとりを実現するためには、「こういうときは普通こう言う」というストックを、できるだけ多く自分の中に作る必要があります。「私の電話番号わかるよね? You have my number, don’t you?」のように、「日本語→英語」の順でひたすら短い例文を読み上げてくれるような教材を探して、それを使います。日本語を聞いた瞬間に一時停止ボタンを押し、英語に訳す、ということを、その教材に入っている全例文が完璧に暗唱できるようになるまで、続けましょう。もちろん声を出せるときは声を出し、その際は発音も注意しましょう。
ひとたび全部覚えたら、あとは常に2倍速で暇なときに聞き流しておけば、一度覚えたものを忘れることはありません。これがひと通り定着すれば、難なく会話もできるようになります。

◆Webで「Immerse yourself in English」
ここまで来れば、ほぼ不自由なく、聞けて話せるようになっているはずです。あとは、一度身に付いた能力を忘れないように、常日頃から「Immerse yourself in English」ということを意識してください。
何か新しい情報を得るときは、どうせなら英語で得るようにしましょう。言語は、所詮、道具です。道具であるべきものを学ぶことに全精力を費やすなんてもったいないと思うのです。だからこそ、「移動時間」のみで学習を行い、基礎を固めた後は、「情報収集のツール」として使うことを徹底しましょう。つまり、今までと同じ日常生活を営みながら、英語に変換可能な部分はできるだけ英語でやってみる、ということです。
このご時勢、最も効率の良い英語学習ツールは間違いなく、Webです。検索をするなら、Google.co.jp ではなく、Google.comのほうで調べましょう。日本語英語を問わず、世界中のサイトが平等に検索対象になります。その結果出てくるWikipediaは、もちろん英語版を使うのです。最近ではQwikiという、音声・字幕付のものも出てきたので、こちらも単語習得とリスニングに役立ちそうです。
いきなり英語で情報収集しろと言われても敷居が高すぎる、という方もいるかと思いますが、それを支援してくれる機能が充実しているのもWebの良さです。例えば、マウスオーバーしただけでその単語の意味を瞬時に表示してくれるFireDictionary(Firefoxの拡張機能)はオススメです。この拡張機能は、速度とユーザインターフェースが非常に優れていて使い勝手が良く、これを使いたいという理由だけで僕はFirefoxを使い続けています(Chromeの拡張機能もいろいろ試しましたが、この操作性を凌駕するものは見つかりませんでした)。
Webを使えば、生活に英語を組み込むことはいくらでも可能です。例えばTwitterで、海外のニュースサイトや、英単語とその意味をつぶやくBotをフォローしておけば、自分のタイムラインの中に英語が混じり込みます。「英語の勉強をするつもりじゃなかった状況に、嫌でも英語が混じりこんでくる」ような環境を作ることは、とても大事です。
話す練習でいえば、最近だとSkypeを用いて月額数千円で毎日英会話ができるサービスもあります(レアジョブや、スカイトークが有名ですね)。外国人と英語を話すチャンスを見付けるのにも苦労せずに済む世の中になってきたのは喜ばしい限りです。他にも、Lang-8という英語作文&添削に特化したSNSなども、オススメです。
Web関連で「Immerse yourself in English」を実現する方法は数え上げたらキリがないほどたくさんあり、そしてすぐに新しいものが出てきます。この原稿は2010年の12月に書いているので、もしかしたらこれを読まれる頃には上で上げたものがすでに時代遅れになって、もっと便利なものが出てきているかもしれませんね。

と、まぁ偉そうに書きましたが、細かい部分は自分に合った方法に変えながら、取り組んでみてください。僕の場合、何が良かったのかといえば、目的を明確にし、効率を追求し、その上でとにかく努力したことだと思います。ひとつひとつの学習法にムダはないか、そもそも何のためにやっているのか、ということをひたすら考え抜きましょう。そこに論理的な裏打ちがある限り、あとはひたすら努力をすれば、英語力は青天井です。

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と、まぁ、拙速な文章で申し訳なかったですが、詳しいことは今後このブログでちゃんと書いていきますので。

ちなみにこのブログでは今後、思ったことをテーマに拘らずに真面目にとりとめなく書いていくつもりです。
英語学習法紹介の専門ブログにはしないつもりですので。

どうぞよろしくお願いします。

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